帰朝報告・First Donation ~Books for abroad and for all the children of foreign nationals in Japan

昨年12月13日,フィリピン・マニラ首都圏にある大学と,小規模ながら日本の文化や精神性,ビジネスマナーまでしっかりと教えている優良な日本語教育機関に,こちらでいただいた本を寄贈してまいりました。

二箇所の寄贈先への書籍を手持ちで運んだため,それぞれ数冊程度の初回寄贈ではありましたが,フィリピンの方にも馴染みのあるハリー・ポッターの表紙や,私の大好きな「手ぶくろをかいに」の,やさしいキツネのさし絵を目にされた途端,先方の表情がキラキラと輝くようにほころんだのには深く心を打たれました。

寄贈先のひとつであるその大学は総合大学であり,同時にTech-Voc(テック・ボック)と呼ばれる職業訓練コースも持ち,中学・高校も併設されています。日本に深い理解のあるオーナー学長は,中学・高校の「授業」に日本語を正式に取り入れるべく準備を進めておられるところです。
補助教材となる日本語の書籍を継続的に寄贈することをお伝えしたところ,それは喜ばれて「図書館に専用のコーナーを設けて,『TERAKOYA Library(寺子屋図書館)』と名付けます」と,言ってくださいました。


色々な場所で話したり書いたりしていますが,かつて,戸籍は寺にありました。
寺に子どもたちが集まり,簡単な文字の読み書きや,生きるのに最低限必要な算数を習いました。
百万都市・江戸では「手習い」と呼ばれ,学問のある大人が業として束脩(そくしゅう=授業料)を取って子供たちを教えました。師匠には女性も多く,男の子と女の子,武家の子供と町家の子どもが机を並べる光景も当たり前に見られました。

世界経済フォーラムの2019年ジェンダーギャップ指数(男女不平等指数)において,日本は,男女格差の少ない方から数えて121位でした。いっぽうフィリピンはアジアで常にトップに位置し,今年は世界16位だったと記憶しています。

今はそんなありさまですが,200年前,私たちの国には当たり前の平等があり,国民ほぼすべてに学ぶ機会が与えらえていました。
この江戸時代に培われた高い識字率こそが骨となり,強靭な足腰となって,私たちは明治という新しい時代に漕ぎ出し,大きな時代のうねりを乗り切ることができたのです。
(本当に「明」であったのは明治ではなく江戸であったと,江戸贔屓の私の考える根拠のひとつでもあります。)

そしてこの話をアジアの方にすると,日本の経済発展の裏にはそんなことがあったのか,そんな話は一度も聞いたことがなかった,と,必ず深く感動されるのです。


「日本はすでに魅力のない国に成り下がった」という論調をメディアで目にすることが多くありますが,実際にアジアに足を運んでいる我々は,まだまだ多くの国で日本は憧れであり,尊敬されているという事実を目の当たりにします。
だからこそ,その日本の「足腰」となった200年以上前の「教育」に,彼らは惹き付けられるのだと思います。

TERAKOYA NIPPON PROJECTは,2020年から本格的に海外の教育機関,国内在留外国人や外国籍の子供たちの集まる日本語教室などへ,書籍の寄贈を開始いたします。
学ぶよろこび。そこに書いてあった,昨日まで読めなかった文字が,今日,読めることの感動。

どうぞ一人でも多くの皆様の善意をお寄せ下さいますよう,心よりお願い申し上げます。



いつか,私たちの送った書籍で日本語を学んだ若者が働き手として来日し,我が国の社会を,経済を,力強く支えてくれる。私たちが年を取ったときに当たり前のように日々の生活をアシストしてくれる。
気の長い取り組みではありますが,そんな未来の実現のために,去年よりも少しだけ,今年の世界を良くしていこうと思います。

本年もTERAKOYA NIPPON PROJECTへのご理解・ご支援の程,何卒宜しくお願い申し上げます。

 

令和2年1月

TERAKOYA NIPPON PROJECT/ふじ行政書士事務所 代表
行政書士 藤岡 みち子

 

 

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