【追記あり】外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策素案 考察

少し時間が経ってしまいましたが,12月17日に法務省にて外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会の第5回会合が開かれ,外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(以下,「総合的対応策」)の素案が示されました。

外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(本文・素案)【PDF】

施策数が124と多く,内容も多岐に渡っているため,ふじ行政書士事務所のブログを多くご覧いただいている方に関連性の高い項目で,かつ実施時期が明記されているものなどを中心にいくつかピックアップしてご説明します。
当ブログは読者層が限られていることもあり,もともと「読みやすさ」や「面白さ」は意識していません。以下の記述も読みにくいとは思いますが,重要ですので関係者の方はぜひご一読ください。


1)日本語教育機関の質の向上・適正な管理(施策番号55~59)

現在,日本語学校は一旦留学告示に載ってしまえば,全生徒の出席率等の基準さえ満たせば現実的には抹消されることはほぼありません。今後は新たな抹消基準として,日本語能力試験の合格率など,厳格な数値基準が導入されます。これら試験の結果については,地方入国管理局への報告及び公表が日本語学校側に義務付けられます。なお,後述する仲介者の情報の記載など,在留資格認定申請時の様式や提出資料の見直しなど,地方入国管理局での審査は厳格化され,これらすべてに基づいて入国管理局の日本語学校の適正性判断にかかる選定基準も見直されます。以上の内容については平成31年3月を目途に告示改正により施行されます。また,留学生の授業への出席率については,把握及び記録にICTの導入が推進される見込みです。

2)留学生の就職支援(施策番号67~79)

9月初旬に唐突な新聞報道等が1回だけありましたが,来春大学や専門学校を卒業する留学生の就職できる業種の幅を広げるため,大学を卒業する留学生に関しては平成31年3月に告示改正が行われます。また,いわゆるクールジャパン分野を専門学校で学んだ留学生についても,同じ時期を目途に必要な措置が講じられます。なお,信頼できる方からのお話によれば,ひところ報道された「300万円」という具体的数値は盛り込まれない方向で,「日本語による円滑な意思疎通を必要とする」という要件は「語学」に置き換えられる予定です。
出入国・在留管理に関連して近々行なわれる変更が2点。ひとつは,留学生を含め,日本で起業を志す外国人のために,起業準備のために最長1年間の在留期間を付与するなどの在留資格手続き上の措置が講じられること。もうひとつは,一定の条件を満たす中小企業への就職が容易になるよう,留学生が在留資格変更許可申請を行う際の提出書類の要件を,カテゴリー1,2などのいわゆる大企業と同等に緩和するというものです。いずれも30年度中に実施予定。(※前者は素案の本文中には「平成30年中」とありますが,他の箇所と読み比べた結果「平成30年度中」ではないかと思っています。→12月28日,外国人企業活動促進事業に関する経済産業省告示が出されました。「平成30年中」で正しかったようです,申し訳ございません。)

3)社会保険への加入促進等(施策番号89~96)

入管法改正論議の際に社会保険についても焦点が当てられました。セーフティーネットとしての社会保険に外国人就労者も加入させるべく事業者へ徹底します。新たに創設される特定技能外国人の受入れについて,受入れ機関の社会保険制度上の義務の履行および納税義務の履行状況が調査され,一定程度の滞納がある機関については受入れは認められません。また,特定技能外国人本人についても,本人の責めに帰すべき理由により保険料や所得税・住民税を一定程度滞納した者については在留資格の更新や変更を認めないこととされます。この措置は今後既存の在留資格に順次厳格に適用されるようになります。

4)外国人材の適正・円滑な受入れの促進に向けた取組 ~悪質な仲介業者等の排除(施策番号97~104)

技能実習について,悪質な送り出し機関を排除するための二国間取決めの締結に至っていない,中国,インドネシア,タイについて,平成31年4月を目途にそれぞれ締結を目指します。新設の特定技能については,平成31年から人材の送出しが想定される(特定技能を対象とした日本語試験の実施される)9か国について政府間協定文書を交わす予定です。
留学生について,国内外の悪質な仲介者を排除する仕組みを構築します。その一環として在留資格認定証明書交付申請の様式に「仲介事業者名」欄が加わります。同様に特定技能外国人および技能実習生についても在留資格認定審査を厳格化し,悪質な仲介業者の関与が認められる場合は入国は不許可とされます。


本素案に基づく総合的対応策は,来週にも正式に決定となる見込みです。ここでカバーしきれない数多くの重要な施策が列挙されていますので,ぜひオリジナルをご一読ください。

昨今は非難の的となることの多い技能実習制度ですが,本来の理念は素晴らしいものです。ただ,技能実習法制定前の制度設計が不完全だったために国内外の悪人どもに間隙を突かれてしまいました。技能実習法,新入管法,そして本総合的対応策と読み進めてくると,二度とその轍を踏まないという強い意志が感じられます。

新たな資格で日本で働き,暮らす外国人の方,この国で学び,この国で就労する外国人留学生のために,制度の適正化に携わることは法律家としての使命と言っても過言ではありません。

技能実習制度に関わる当事者(監理団体,送出し機関,実習実施者)の皆様,特定技能外国人や留学生の採用を検討される事業者の皆様,大学,専門学校など留学生を預かる教育機関の皆様,そして来春に予定される告示改正の大きなうねりへの対応が必要な日本語学校関係者の皆様。ふじ行政書士事務所では,外国人の方が所属・関連する機関向けの,外国人関連法務顧問業務を行っております。外国人の方の在留資格の管理,日々の諸手続きや業務等について,入管法,技能実習法,労働関係法令,その他関連法規に則った助言,各種申請代理・取次業務の割引価格での受任などが含まれています。

法令を遵守することは一般的にも法人の社会的評価に大きく影響しますが,こと我が国の外国人受入れ制度においては絶対的な要件と言うことができ,さらに法令による縛りは日々複雑さを増しています。
我が国の外国人政策がかつてない歴史的転換点に立っている今,法律専門家によるサポートの導入をぜひご検討ください。

 

-12月25日追記-

本日の関係閣僚会議にて,総合的対応策が正式に了承されました。
それに伴い,法務省HPに確定版が掲載されていましたので,付け加えさせていただきます。
概要 http://www.moj.go.jp/content/001280352.pdf
本文 http://www.moj.go.jp/content/001280353.pdf

 

 

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