フィリピンにおけるCOVID-19感染拡大について

ずいぶん久しぶりの投稿になってしまいました。

その間、約1か月前に帰国した頃には思いもかけなかったペースで,フィリピン国内での感染が拡大しています。

ドゥテルテ大統領は,強力なリーダーシップで,早々にマニラ首都圏の封鎖を,続けてマニラのあるルソン島全域の封鎖を決めました。封鎖は4月14日まで続きます。
これにより私のフィリピン人の友人の一人は,首都圏ケソン市の家族を訪問したまま再来日できなくなりました。せっかく諸々の許可の下りた実習生も出国が叶わない,申請に必要な書類が揃わないなど,仕事でもプライベートでも影響が出ています。

フィリピンの感染で特筆すべきは,欧米と同様に,感染確認された方のうち,亡くなる方の数が多いことです。昨日3月24日午後4時の時点で,感染者552人,死者35人。いくらか下がったとは言え,陽性と診断された方のうち6.3%が亡くなると言う,非常事態です。

この理由は,脆弱な医療にあると思っています。

公立病院の看護師は,ほぼ最低賃金の水準の給与しかもらっていません。そのため公立病院は常に人手不足で閉鎖も相次いでいると聞きます。それでも私立の医療機関を受診する余裕のない国民の大多数は,公立病院の前に列を為します。
フィリピンの全国の職業教育機関において,看護師の資格が取れるコースはどこも大人気で,毎年大勢の看護師有資格者が誕生しているにも関わらず,です。

その理由は,待遇の低さから,主にアメリカなどに出稼ぎに行ってしまうからと言われます。

これは,介護人材としてフィリピンの看護師有資格者に来てもらいたいと考える我々のような者にとっても,目を背けることのできない現実です。

フィリピンは,いくらか出生率が下がったとは言え依然として綺麗なピラミッド型の人口構成を保っています。労働年齢人口が減少することは当面考えられませんが,他のアジア諸国では,急激な経済自由化や近代化の副作用としての人口減少がすでに始まっているところも少なくありません。
日本に対しての最大の現業的労働力供給国となりつつあるベトナムも,あと5年程度で国内の需給バランスが逆転するとも言われています。

その時に,その前に,労働力を輸入する側として私たちは何を考えるべきか。それが「医療」という人の命を守る現場であることを思えば,看過することはできないと思います。


厚生労働省が今年はじめに発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)によれば(リンク先PDFの[別表7]国籍別・産業別外国人労働者数を参照),医療・福祉の産業分野で働く外国籍の方の総数が34,000人あまりのうち,フィリピン一国だけで1万人を超えています。

日本人との婚姻により我が国に定着した方たちが,現実に介護等の現場の担い手となっている事実とともに,技能実習生の数も着実に増えています。ことに特定技能が敬遠されて技能実習制度の使い勝手が再評価されている状況下で,制度によって来日して医療・福祉の担い手となる方の数は,ますます増えることでしょう。

感染の拡大を受けて,セミナー等様々なイベントが中止または延期となり,図らずも久しぶりに落ち着いてものを考え,仕事をする時間ができました。
TERAKOYA NIPPON PROJECT として本を贈る活動を始めたとき,この短期間で二度も渡航して本を寄贈し,人材育成と人材交流のための先の長いプランについて話し合うことになるとは,まったく思いもしませんでした。

考えれば,道は,できると思います。

私たちの本の寄贈先でもある,とある学校で大歓迎してくれた看護コースの生徒さんたち。そのキラキラした瞳と笑顔とを思い出しながら,そして一日も早い収束と,友人たちの無事とを祈りつつ,大きな課題にも向き合ってみたいと思います。

 

 

 

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