EPA介護福祉士候補者の特定技能1号への移行について

5月10日(金),厚生労働省のウェブページにおいて発表がありました。

※以下に掲げる方については、「特定技能1号」の決定に当たり、技能試験・日本語試験が免除されます。
○ New!! EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方
►具体的な要件等について    
►必要な手続について

EPA介護福祉士として入国した外国人の在留期限の上限は4年間です。
一義的には,最終年度の介護福祉士国家試験に合格し,在留資格「介護」へと移行し期間の制限なく介護人材として働いてもらうことがゴールですが,言葉の壁もあり,例年半数程度の不合格者を出しています。

これらの不合格者のうち,要件を満たした者については,滞在期間の延長措置が毎年取られてきました。一定の要件を満たした候補者に限り「所要の手続及び審査を経て、協定に基づく滞在期間中の最後の国家試験の次年度の国家試験合格を就労・研修しながら目指すことを可能とするため、協定に基づく滞在期間を超えて追加的に1年間滞在期間を延長し、日本での就労・研修を継続し国家試験を受験する機会を特例的に一回に限り得られるようにする」というもので,外交上の配慮からなされるものです。

昨年度(平成30年度試験)の場合,滞在最終年度(4年目)の受験者総数459名のうち,合格者234名(約51%),不合格者225名(約49%)。
救済措置の内容は,このうち,昨年度試験の合格基準点72点の5割,36点を得点基準とし,かつ,「候補者本人から平成31年度の国家試験合格に向けて精励するとの意思が表明されていること」「受入機関により、平成31年度の国家試験合格を目指すため、候補者の特性に応じた研修改善計画が組織的に作成されていること」などの要件を満たす場合,所定の審査を経て滞在の延長が認められる,というものでした。
平成29年試験で不合格となるも,上記の措置で再受験した候補者の数が119名。うち32名が無事合格しているものの,その合格率は4年目の(正規の)受験者のそれと比べて低く,やはり相当な努力をもってしないと,リカバリーは難しいことも如実に物語っています。

そんな中で,一定の要件を満たした不合格者については,特定技能1号への移行を,技能試験・日本語試験を経ることなく認める,という措置が発表されました。
特定技能1号に移行すれば,その後最大5年の在留が認められます。また,5年の間には何度でも介護福祉士国家試験を受験でき,合格すれば,その後,期間の定めのない在留資格「介護」に移行できて,家族の帯同も可能になるのです。

外国人材を雇用する介護事業者の方にしてみれば,どうでしょう。
捉え方次第とは思いますが,特定技能に移行しても,継続的な支援は必須ですし,国家試験合格のための学習の機会を提供するなどの配慮は欠かせません。また,特定技能の特徴として「転職」が可能になるという点もあります。人手不足が恒常化してしまっている産業分野において,より高い報酬を提示されて転職を希望する人が出てくる可能性も否めません。
それでも,せっかく4年間の滞在の間に相互に信頼を築いてきた人材を失い,再度少なからぬ初期費用を投資して新たな候補者を迎え入れる(ことになるかもしれない)コストとリスクを考えると,同じ人に続けて勤務してもらうことが,何よりも入所者の方にとって安心であるに違いありません。

EPA介護福祉士候補者として就労する外国人材の数は,そもそもの協定相手国が3か国のみということもあり,すべての外国人介護人材の中で決して大きな比重を占めるものとは言えません。したがって,今回の要件緩和に関係してこられる方も多くはないかとは思いますが,新たな選択肢がまた一つ広がったものと前向きに捉えていただければと思い,投稿させていただきました。


介護福祉士国家試験の合格率は,ここ数年は70%程度で推移しています。これはすべての日本人受験者を含む数字です。
これに比して,言葉の壁に悪戦苦闘しながら受験しているEPA候補者(滞在4年目)の合格率が,例年5割を超えているという事実は,いずれにしろ賞賛すべきことであると私は思っています。

 

EPA介護福祉士候補者から介護福祉士へ。 5月5日の読売新聞朝刊に,外国人に介護してもらうことに抵抗感を感じる人が59%という世論調査結果が載っていて,愕然としました。
一方で,EPA候補者として来日,介護福祉士試験に合格して,都内の施設で働き続けるインドネシア人の女性の記事もありました。施設長さんの言葉を最後に引用させていただきます。

「職員の間でも最初は不安の声があったが,みんな勉強熱心で優秀。相手の目線までかがみこんだり,手を取って話を聞いたりということを自然にできる優しさを持っている。」

そんな当たり前の優しさを持った方たちに,我が国の介護を担っていただきたいと,私は素直に思っています。
みなさんはいかがでしょうか。考えるべき時にきています。

 

 

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