日本型介護と外国人介護人材受入れ | 労働者として人権を守り,やがては選ばれる国へ

8月5日夜,表参道の東京ウィメンズプラザにて開催された,NPO法人POSSE主催のイベント「外国人労働者の人権を守るために何ができるか 〜日本と台湾の経験から学ぶ〜」に参加しました。
30代の若く優秀なリーダーの方たちの正しいスタンスに,重い内容ではあるものの,心が洗われるような清々しさを覚えました。

台湾で活動されている2名の登壇者はいずれも女性の方。
うちお一人の方が淡々と柔らかな口調で発表された,台湾の外国人Domestic Worker(家事労働者)を取り巻く状況には衝撃を受けました。

家事労働者は,いわゆる「家事」のみでなく,家族の中の高齢者などの介護も行います。
日本と異なり,介護は家庭内で行うべきという社会的背景や圧力,制度の不備により,実際は被介護者の居室にベッドを搬入し,事実上365日24時間の就労を強要されるケースが数多くある,というものです。

Domestic Workerとして海外で就労するのに,まずほとんどの国は言葉の要件を設けていません。そのため,フィリピンなどからも多くの方が,東アジアなら中国,台湾,韓国,シンガポールなどに気軽に働きに出ます。そしてその先では,決して看過できない割合で,雇用主による人権抑圧,暴力,性的嫌がらせやレイプなどの被害が現実にはあるのではと懸念されます。

ちょうどその翌日のまにら新聞の記事には,シンガポールでの雇用主から受けた暴力についての裁判も取り上げられていました。


8月8日に,厚労省より,外国人技能実習生の実習実施者に対する平成30年の監督指導、送検等の状況が公表されました。

全国の労働基準監督機関が監督指導を行った実習実施者(企業)7,334件に対し,その70.4%に当たる5,160件で労働関係法令違反が認められた,というもの。

【別紙】技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成30年)[PDF形式:315KB]

数字だけ見るとそれは衝撃的な数に思えますが,少しその「裏」もご説明させてください。

機械・金属,食料品製造,繊維・衣服,建設,農業,これら5つの主たる業種の違反件数がほぼ全体の8割,4,000件近くに上っています。
原因は一義的には実習実施者,雇用主企業の意識の低さですが,実習生側から「もっと残業させろ」という強い要求があるケースも少なからずあるように聞きます。特に一部の器用で目端の利く実習生が,時給ではなく内職にしろと要求し,仕方なく二重帳簿にするケースや,「おたくだけどうしてやらないのか?そういうのは困るんだ」と監理団体である事業組合から違反行為を要求されることもあると。

驚くべきは,そういった組合には名ばかりの外部監査人というのがついていて,ほとんどが「言いなりになる」行政書士であるという事実。外部監査の制度自体がまったく機能していないことがよくわかります。

そんな中,こと介護分野については,新法施行と同時に後発で追加された業種であることや,技能実習の中で唯一「対人サービス」の技能を習得することを目的として常に人目のある環境で他者とコミュニケーションを取りながら就労するその特性により,他業種に比べてはるかにクリーンな環境が保たれていると言えるでしょう。


台湾のDomestic Workerに目を移すと,彼女たちの中にはパスポートも取り上げられ,外部との交流のすべも与えられず,1日の休みもなく絶望の中で日々を送る方も少なくありません。

日本は,特定技能で来日を希望する外国人材に対し,日本語要件という他国にないハードルを課しました。
そのことで,「日本を希望する人が少なくなるのではないか」と懸念する声も多く聞かれますが,私は日本語を解することで地域社会に溶け込んでもらい,孤立させないことが,当人の人権や日本人と等しい労働者としての権利を守ることにつながると考えており,それは長期的に日本が「選ばれる」国になるために欠かせないと強く信じています。

多少遠回りではありますが,正しい道を歩いていきましょう。

 


【お知らせ】

来たる9月26日~29日,フィリピン国政府認定の送出し機関,日本語教育機関,スキルトレーニングセンター等の視察会を予定しています。DOLE(労働雇用省),POEA(フィリピン海外雇用庁)などの関連政府機関における担当者との懇談も組み込まれています。
将来的なフィリピン人介護人材の受入れをお考えの介護事業者様は,採用活動を行われる前に一度こういった視察会にご参加されることを強くお勧めいたします。
ご希望の事業者様はお気軽にお声をおかけください。

 

 

 

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