平成29年 外国人留学生の日本企業等への就職状況

毎年この時期に法務省より発表されます。前年1年の間に、どれだけの数の、どういった属性の外国人留学生が、「留学」の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」等就労資格に変更したかというデータになります。

昨年は、許可された人数が22,419人と過去最高でした。
ですが、実は不許可数も5,507人と過去最高を更新し、許可率は80.3%と、過去10年、ほぼ9割という高い許可率を維持してきたところを大幅に割り込みました。前年に比べて8.5ポイントという大幅な落ち込みです。見やすいようグラフ化してみました。

就労系資格への在留資格変更許可件数と許可率の推移

 

理由は複数考えられますが、私は、専門学校生に占める外国人留学生の割合が増えたことが最大の要因ではないかと考えています。

大卒の場合、専攻科目と従事しようとする業務に必要な技術や知識とは「一般的に関連」していることで要件を満たします。これに対し専門卒の場合は、「専門士」の称号を付与されていて、なおかつ従事しようとする業務に必要な技術や知識と「具体的に関連」している科目を専攻していることが必須の要件となります。
また、給与要件も「日本人と同等かそれ以上」とされており、このあたりが充足していないとして不許可になっているものと思われます。

学歴別許可状況(PDF)

添付は、法務省の数値をもとに作成した、最終学歴別の変更許可件数になります。
一見してわかる通り、大学、大学院と高学歴になればなるほど、過去3年の増加率が小さくなっています。それに比して、短大および専修学校(注:法務省統計では別項目ですが敢えて合算しました)の卒業者の許可件数が大きく増加しているのに気づかれると思います。
許可件数全体に占める構成比も年々増えており、ついに平成29年、全体の4分の1を超えました。

もともと我が国が、高度な技術や知識を持つ人材のみ受け入れようというスタンスだったことはご存知の通りです。ですが、東アジア諸国の経済発展に伴い、残念ながら我が国はいわゆる「高度人材」に選ばれる国ではなくなりつつあります。
さらに押し寄せる少子化の波により、日本人の学生・生徒が集まらなくなった短期大学や専門学校が外国人学生を集めに走っている現状が、このトレンドの背景にはあるのです。

9月初旬、「既存の在留資格「特定活動」の中に「日本語による円滑なコミュニケーションを必要とする業種」が来春より加わる」「専門卒の留学生の就職できる職種が大幅に緩和される(いわゆるクールジャパン分野では現業的な業務も可能になる)」「収入要件は年収300万円」といった報道が新聞各紙でなされました。

前二者が事実であれば、専門学校に在籍している留学生にとって大変な朗報です。ですが、今回の法務省統計のうち「月額報酬別の許可人数」において、(大卒、院卒を含めた)全許可人数の81.9%の月収が25万円未満であることからも、年収300万円はかなりのハードルであると感じます。(うち月収20万円未満が全体の34.6%)

私は、こと法令に関して投稿する際は、新聞報道だけではなく必ず大元の裏付けを取るようにしています。官報は当然として、法務省はじめ関係省庁、首相官邸や内閣府のサイトは毎日必ず目を通しているのですが、当該の発表はいまだ見つけることができません
行政書士の間でも話題になっており、新聞の紙面そのままブログに投稿されている方もよく見かけますが、いまだに出どころがわかりません。裏付けもせずにネットの記事を拡散させる姿勢自体、法を業とする者としてどうかと思うのですが、私の力不足で探し出せていない可能性も完全には否み難く、もしご存知の方がいらっしゃいましたらぜひご教示頂きたいと思っています。

 

法務省の掲題のプレスリリースはこちら

 

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