終わらない夢。 | いざ、淀の舞台へ

今日、9月20日は少し柔らかい話をさせていただきます。カンのいい方はもしかするとお気づきかもしれません。

地方競馬最多勝利記録を8月に更新したばかりの大井の帝王・的場文男騎手が、競馬史に新たな一節を刻みました。(的場さんのことはこちらのブログで)

最年長重賞勝利。62歳と12日。
2018年9月19日、地元大井競馬場で、中央からの転厩3戦目、シュテルングランツ号とともに自らの記録を塗り替えました。それも「S1」とランク付けされる地方競馬の中で最も高いグレードの重賞で、圧巻の逃げ切りを見せてくれました。と同時に、自身の持つ「重賞勝利連続年数」も、38年に伸ばしました。

レース後の的場さんのコメント、「この歳になっても重賞が勝てるんだな」「中央(JRA時代)の戦績を見るとケツの方ばっかりだったのに、乗るたびに馬がよくなってきた」そして「今日は馬と話し合いがついた」etc.、的場節全開でした。

シュテルングランツ号は、この後11月4日にJRAの京都競馬場で開催される「JBCクラシック」(Jpn1、ダート1,900m)という大舞台に向かいます。

これまで、JBCの舞台で中央勢を破った地方所属馬はわずかに2頭。のちに不慮の事故でこの世を去ったレジェンド・フジノウェーブ号と、昨年JBCレディースクラシックを勝った「ララベルがんばる」のララベル号です。それ以外、「地方の雄」と呼ばれた馬たちが、ことごとく中央の壁に跳ね返されてきました
その中で「中央でケツの方の戦績ばかり」だったこの馬、G1馬が何頭も出走するJBCクラシックで勝負になるのでしょうか。当然の疑問だと思います。

私は、「意外となる」ような気がします。

その理由の一つは、コース形態です。
大井と京都のダートコースは、同じ右回り、平坦で直線の長い形状が似ています。芝スタートでもなければ、ゴール前の急坂もありません。京都の1,900mは4コーナーから立ち上がった付近(スタンドから見て最も右の最終コーナーに近いあたり、最初の1コーナーまでの直線距離の最も長い地点)がスタートですから、内外の枠順による有利不利が少ない点も大井の二千とよく似ています。
「大井と京都が似ている」という私の仮説を裏付けているのが、3歳の若馬による頂上決戦、JDD(ジャパンダートダービー、毎年7月に大井競馬場で開催)で好走した馬には、京都千八の特別レースを勝ち上がってきた馬が多く名を連ねているという事実です。
私が競馬を始めてからのこの5年あまりの間でも、カゼノコ、キョウエイギアの2頭が、京都の鳳雛ステークスを勝ってJDDを制しました。
おそらく経験値の少ない若馬ほどその傾向は顕著なのだと思いますが、あらためて歴代勝ち馬のステップ見てみたところ、かなりの割合で京都千八を好走していたことが判明しました。データは見てみるものです。

もう一つの理由は、シュテルングランツ号の走るフォームにあります。
彼は、前肢で走るタイプです。もっと言えば、「胸」で走ります。
胸の筋肉には、後肢ほどの爆発的パワーはありません。その代わり、少ないエネルギーで身体全体を動かして効率的に走るので、「胸で走るコは距離がもつ」と私は思っています。
多くの方に馴染みのあるところでは、「永遠に破られない」とまで言われた春の天皇賞(3,200m)のディープインパクトの記録を破ったキタサンブラックがそうでした。オジュウチョウサンに代表される障害の名馬たちも、障害を跳ぶことで胸で走る動きを身に着けたからこそ、障害を飛越しながら4キロもの距離を走ることができるのだと思います。
ご興味のある方は、南関東競馬の公式ページから、ぜひシュテルングランツ号のレース動画をご覧ください。

彼は3~4年前に数回、京都の千八を走っていますが、いずれもぱっとしない着順に終わっています。レースの詳細はまだ見ていませんが、的場さんの「今回は馬と話し合いがついた」というコメントから察すると、気性に難があったのではないかと思われます。血統からも、その後より短いところ、短いところとレースを選んでいったことからも想像されます。

そんなシュテルングランツ号が、われらが大井の帝王との「話し合い」で「折り合い」という新たな武器を手に入れ、地方競馬を代表する名トレーナーで「大の的場ファン」を公言してはばからない小久保智調教師の渾身の仕上げで、ふたたび淀(京都競馬場)の舞台で中央の強豪と対決します。
遅咲きのステイゴールド産駒。優勝・・・がたとえ無理でも、このチームできっとドラマを演じてくれると信じています。

最後に、スポニチさんの記事に、我々ファンの心を打つ一文がありましたので引用します。

”11・4。騎手デビューから46年目、大井の帝王が淀に初見参する。”

夢は、追い続ける限り終わりません。いつも的場さんに教えてもらっている気がします。
シュテルングランツ号と的場騎手、小久保先生、そして地方代表馬たちに、当日は暖かいご声援を、どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

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