この国の司法 その1 | 夏休み子ども模擬裁判のこと

「この国の司法」などと大層なタイトルになりましたが、重くて堅い話ではありません。
ひそかに楽しみにしている千葉地裁の夏休み企画、小学生模擬裁判が今年も開催されました。広報活動の一環として夏休みに実施されているものです。
童話で考える刑事裁判・チラシ
今年のお題は「さるかに合戦」。親を殺されたカニの子どもがサルへの敵討ちを企て、栗とハチと臼と牛のフンが加勢します。本件ではすでに実行犯である臼は懲役4年が確定しており、こども裁判では犯行を企画した被告・カニに対する量刑が争点でした。

検察側は、犯行を企画したカニの罪は臼のそれよりも重いとして懲役5年を求刑します。
それに対して弁護側は、カニが直接手を下したわけではないなどとして執行猶予つきの判決を求めます。
双方の弁論をもとに裁判官役の子どもたちが合議し、言い渡した判決は「他者を巻き込んで事件を起こした責任は重い」と、検察側の主張を認めた懲役5年というものでした。

ちなみに昨年2017年のお題は「桃太郎強盗致傷事件」。銀行の支店長をつとめる鬼が村人の借金の担保として取り上げた米俵を桃太郎が取り返しに行き、その際に鬼を木刀で脅して転倒させ、骨折させたとして、強盗致傷の罪に問われたものでした。

開催4回のうち3回まで有罪の判決が下された中、はじめて無罪判決が言い渡された際の千葉日報の見出しがふるっていました。

桃太郎に初の無罪判決 小学生が裁判体験 千葉地裁> 千葉日報 2017年8月17日付

カニも桃太郎も、有罪か無罪かと言えば、法治国家である以上私刑は許されませんし、木刀を持った時点でアウトだと思いますが、「銀行の支店長」の行為に瑕疵はなかったのか。そもそもの金利は法定利息の範囲だったのか。村には法律家はいなかったのか。それ以前に警察は機能していたのか。

真実はひとつ。だけど、人の数だけ事実は存在します。
そう考えると、去年の桃太郎強盗致傷事件はお題として少し難しかったよね。だから今年は少し意見のまとまりやすい設定になったのかもしれません。
去年も今年も、子どもたちは口々に「意見が分かれて難しかった」「正当行為など知らない言葉が出てきて難しかった、これからもっと勉強したい」「有罪か無罪かの判断がすごく難しかった」などの感想をもらしています。
一生懸命みんなで考えて、与えられた情報を法に照らし、合議して結論を導いた、未来の司法の担い手たる子ども裁判官たち。その過程と正義感とに対して大きな拍手を送りたいです。

ちなみに、子ども裁判は大変な人気企画で、募集開始後すぐに定員に達してしまうそうです。ご興味のあるお父さん、お母さん、来年は千葉地裁HPのこまめなチェックを。

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