改正法務省告示施行 | 本邦の大学を卒業した留学生の就職先要件が緩和されました

過去に少し小欄にて触れさせていただいたことのある告示改正が,昨日(5月30日)の官報掲載を経て施行の運びとなりました。

出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件の一部を改正する件(法務二〇)(当該記載のあるページにジャンプします)
(官報掲載後1か月間は上記リンクは有効です。1か月経過するとアーカイブされるため,その後は「インターネット版官報」→「過去の官報」にてご覧ください)

これは,小売業,飲食業,製造業の現場など,慢性的な人手不足に悩みつつも,在留資格該当性の問題でこれまで外国人留学生を採用することのできなかった業種・職種において,日本の大学を卒業し,高度な日本語の能力を身に付けていれば留学生の就職を認めようという,大きな路線転換です。

もともと大学を卒業した留学生は,必ずしもその専門分野と業種・職種が一致していなくてもいいという一定の緩和はなされていましたが,今回の改正はそれを一歩前進させたものと言えるでしょう。

2 改正の概要

 現行制度上,飲食店,小売店等でのサービス業務や製造業務等が主たるものである場合においては,就労目的の在留資格が認められていませんでしたが,民間企業等においては,インバウンド需要の高まりや,日本語能力が不足する外国人従業員や技能実習生への橋渡し役としての期待もあり,大学・大学院において広い知識を修得し,高い語学力を有する外国人留学生は,幅広い業務において採用ニーズが高まっています。
そこで,これらの採用側のニーズ及びこれまでの閣議決定等を踏まえ,本邦大学卒業者については,大学・大学院において修得した知識,応用的能力等を活用することが見込まれ,日本語能力を生かした業務に従事する場合に当たっては,その業務内容を広く認めることとし,在留資格「特定活動」により,当該活動を認めることとしたものです。 (法務省プレスリリースより)

 

昨年秋ごろに一部報道機関が報じたときには,「年収300万円」がボーダーラインのように書かれていましたが,その後年収要件は明記されないこととなったと聞いています。都市部と地方の給与水準の格差に配慮したものと言われており,告示内でも「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と表記されました。

令和元年5月30日付官報本紙

 

個人的に気に入っているのはこのフレーズ。

日常的な場面で使われる日本語に加え,倫理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面で使われる日本語を理解することができる能力

SNSの影響でしょうか,もちろんSNSそれ自体を否定する立場ではまったくありませんが,「文章は短い方がいい(=少しでも長いともう読めない)」「相手の立場を思念することなく,投げつけるように言葉を放つ」といった風潮は残念ながら日本人にも広がりつつありますね。

私たちひとりひとり,日本語という細やかで難しい言語を母国語としていることの幸運を,ときには見直してみたいものです。


特定技能制度が始まったことの影響で,他の在留資格は審査が厳しくなっているのではないの?という質問をよく受けます。たしかに厳しくなっていると感じる資格も中にはありますが,高度な技術や知識を要する在留資格には次々と閉ざしていた門戸を開放しているのもまた一方の真実です。

日本の大学に入学するには,最低でもN2が必要。卒業して,この特定活動の在留資格を認められるには,普通に考えてもN1が求められるでしょう。N1というのがどの程度のものか,お時間のある方はぜひ一度ご覧ください。

日本語能力試験 N1レベルのサンプル問題

 

がんばれ,留学生。

 

 

 

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