新たな就労資格創設 | 十数業種を対象へ

9月末に菅官房長官から発表がありました。

当初は「人手の確保が難しく、業種の存続・発展のために外国人材の受け入れが必要と認められる」5業種、農業、介護、建設、宿泊、造船のみを対象とする方針だったのですが、その後業界団体からの要望が相次ぎ、結果、現時点での候補は14業種、最終的に十数業種を対象とする見込み、との発表に至りました。これで事実上、日本は労働開国にむけて舵を切ったとも言えるでしょう。

参考までに、現時点での14業種は下記の通り;
農業、介護、飲食料品製造業、建設、造船・舶用工業、宿泊、外食、漁業、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電子・電気機器関連産業、自動車整備、航空

詳細は今月の臨時国会にかけられ決定されますが、新たに「特定技能(仮称)」の資格を取得するためには大きく分けて2つのルートがあります。技能実習ルートと、認定試験ルートです。
認定試験ルートは、各省庁が今後定める試験に合格し、かつ日本語能力試験等で日本語能力を証明することで在留資格が得られるものです。それに対し技能実習ルートは、最低3年間の技能実習を終了した実習生について、一定の専門的な技能と日本語能力とを修得したものと見なして、さらに5年、今度は就労を目的とした在留を認める、というものです。前者については試験自体がまったく出来上がっておらず難易度の見通しも不透明のため、当面は技能実習ルートが主流になることと思われます。

いずれのルートも、新たな在留資格で認められる在留期間は最長で5年とされてはいますが、その間にさらに高度な専門性を有すると認められる試験に合格するなど、所定の実績を積んだ場合は、在留期間に制限のない既存の在留資格へ変更することもでき、そうなれば就労の幅が大きく広がるのみならず、家族の呼び寄せも可能になります。

技能実習制度については、一部の意識の低い実習実施者(企業)、悪質な監理団体等により、ここ数日も大手メーカーを解雇され短期滞在ビザに切り替えられてしまった実習生たちの話が新聞誌上を賑わわせています。「知らなかった」では済まされない自動車大手による大規模な法令違反や、テレビの報道番組で取り上げられて社会的ともいえるバッシングを浴びたアパレルメーカーなど、広く知られた悪事は挙げればきりがありません。それらの点をもって日弁連などは「技能実習制度は人権侵害以外の何物でもない」と強い調子で糾弾します。

そもそもこの制度の本旨は、途上国に日本の技術を広く移転するという崇高なものでした。一部の悪人や意識の低い事業者により、「安い労働力を確保する手段」のように誤った認識が広まってしまったのは許されざることです。
法も、制度創設の本旨に立ち返るべく大幅な改正がなされ、厳しい処罰規定も置かれました。それは、労働力が必要だからではなく、先を歩む者として後に続く者に手を貸すということが、我が国が国際社会の中で果たすべき、国力に見合った役割であるからだと、私は個人的に信じています。

とは言え、「せっかく技能を修得したと思ったら帰ってしまう」という実習実施者たる企業の皆さんの声も切実なものです。法令がきちんと遵守され、信頼関係が築けているほとんどの職場であれば、実習生の方も新設される制度を利用して就労し、同じ環境でさらに高い技能を身に付けたいと強く思うことでしょう。
そういった現実と理念との間に何とか橋を渡そうとするのが、新たな制度の創設であると私は考えています。

前述のように、弁護士会はそもそも技能実習制度を認めていません。
行政書士は違います。
「いま、そこで起きていること」は、非難したところで紛れもない現実です。常に時代に向き合い、当事者である国民の皆さん、この国で暮らす外国人の皆さんに寄り添うことも、我々行政書士の使命であるからです。

新設される在留資格については折に触れて取り上げてまいりますが、新たな制度については「身近な街の法律家」である行政書士にお気軽にご相談ください。

 

-10月13日追記-
12日午前の閣議後、第2回外国人材の受入れ・共生のための関係閣僚会議が開催され、新制度の骨子が席上明らかになりました。
詳しくはこちらの投稿から。

 

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