引きこもり状態の方とその家族へのあたたかな支援 ~NPO法人楽の会リーラ様を訪問しました

昨7月24日,千葉の終活支援センターさんでお世話になっている弁護士の谷口亨先生とご一緒に,東京巣鴨を拠点に活動されているNPO法人楽の会リーラ様をご訪問させていただきました。

引きこもりの方を支援する NPO法人 楽の会 リーラ

唐突なご連絡にも関わらず快くお時間を割いてくださり,とてもとても重みのある,そして心温まるお話を,事務局長の市川乙充様,KHJ(全国引きこもり家族会連合会)事務局長でカウンセラーの上田理香様より伺うことができました。

とりとめのない所感となりますが,昨日の印象の鮮明なうちに,あえて本稿で少しお話させていただこうと思います。


直接のきっかけは新聞記事でした。楽の会リーラさんを知り,さっそくウェブサイトを拝見したところ,実に細やかな支援を,長きにわたり継続的に提供されていることを知りました。
不躾にもメールを差し上げたところ,ご承諾くださり,昨日のご訪問となりました。

そもそも私が「引きこもり」の問題に向き合おうと思ったのは,超高齢社会と外国人材制度とに向き合ったことが発端です。特定技能外国人の5年間の受入れ上限は34万人。それに対して政府の調査では,40歳以上の生産年齢にある引きこもりの方が61万人と言われています。若年層をあわせると120万人とも200万人とも言われるその数。日本の総人口の1%以上が,社会との接点を持たず,もしくは希薄な状態で暮らしているという事実。

これを短絡的に「引きこもりの方が全員就労できれば外国人労働者は不要」といった議論に結び付けるのは誤りですが,その数字の大きさはイメージしていただけるものと思います。前述の市川様によれば,61万人や120万人と言うのは「引きこもり」と定義づけられた方の数。「引きこもり状態」,例えば15歳未満の不登校児や、統合失調症・うつ・等の疾患や、発達障害、等による2次的なひきこもり状態を含めると,その数は少なく見積もって300万人。おそらく400万人に届くだろうとのお話でした。
超高齢社会と外国人材制度が切っても切れない密接な関係にあるのと同じく,引きこもりという問題も,実質的生産人口の低下と社会保障負担の増大という形で,我が国の将来に間違いなく深刻な影響を及ぼします。今から国全体で取り組まないと手遅れになってしまう,それほどの大問題だからです。

居場所,カウンセリング,社会参加,行政への連携,市民への啓もう・・・などの,引きこもりの方への必要な支援のうち,私のような法律家にできることは,と考えていたため,どうしても直接お話をお伺いしたく,ご無理申し上げてお会いいただいたという経緯です。


ここに書きたいことは山ほどあります。ですので,今後少しずつ,ウェブサイトの構成も見直しながら,お伝えしていこうと思いますが,昨日最も心に響いた市川様のお話。楽の会様のご支援の方針。

  1. 絶対に否定せず,受け止める。
  2. 受け止め続けることで,信頼関係が生まれる。
  3. そうしたら,少し背中を押してあげる。

これはさまざまな社会の局面で求められる究極の真理です。私たち法律家も,相談者さんのお話を聞きながら,そういえば,知らず知らずこのステップを踏んでいますし,例えば苦情などを受け付ける企業のコールセンターなどではインストラクターを呼んで教育するなどされていることでしょう。

違うのは,インストラクターだのマニュアルだのに頼るのではなく,支援活動の中らから体得され,体系化され,実践されている方の発する,その言葉の強さです。

楽の会様では,この3ステップを基本とし、「親」のひきこもりご本人に向き合う時の考え方が変わることにより,信頼関係の再構築を通じて引きこもり状態からの快復を目指しておられます。

「「80-50」と言われますが,実際は多くがそこまで行っていないんです。7040と6030がほとんど。だから,8050まで行かないうちに食い止めなければいけない。」

受付時間を過ぎても鳴りやまない,全国からかかってくる相談電話。
その一つ一つに真摯にご対応されるご様子と,そんなところに押しかけた我々へのあたたかなお心配り,すべてが深く心に残りました。


同じ建物に拠点を置かれるKHJ(全国引きこもり家族会連合会)様のウェブサイトに,2018年度 厚生労働省 社会福祉推進事業 として実施された,2018年度ひきこもりに関する全国実態アンケート調査報告 というものが掲載されています。
これは,すべての方にお読みいただきたいものです。

大変ボリュームのある圧巻の報告書ですので,どうか第5部「自由記述」の,本人調査の部分だけでも読んでみてください。

 

認知症が「誰にでも起きる,普通のこと」であるように,引きこもりも普通のことなのです。
定年退職後に引きこもり状態になる方も少なからずおられますし,他者とコミュニケーションを持たずに家事だけをなんとかこなす専業主婦の方もまた然りです。そういった状態には,私たち自身,もしくは身近な誰かが,いつ何時なってもおかしくありません。

本人の方の言葉のなかに,「引きこもりでもいいんじゃないかとなれば良いんですけど」というものがありました。

そう,認知症でもいいように,引きこもりだっていいんです。私たちが変わって,そんな寛容な社会になれば,彼らはきっと自ら戻ってきてくれることでしょう。何ができるか,何をすべきか,これから考え,取り組んでいこうと思います。

 

最後になりましたが,あらためて貴重なお時間を割いてお話しくださったNPO法人楽の会リーラ・市川様,特定非営利活動法人全国引きこもり家族会連合会・上田様に,また,いつも私の無茶ぶりにお付き合いくださる谷口先生に,心より御礼申し上げます。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です