【追記あり】自筆証書遺言を法務局にて安価な手数料で保管 | 遺言書保管法とは

【平成31年1月11日追記】財産目録部分の自書要件を不要とする改正相続法の一部施行日が近づきましたので,あらためて遺言書の方式について改正内容を含めてまとめました。本日の投稿へはこちらから。


一般的な遺言の形式に、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があるのは聞かれたことがあるかと思います。

自筆証書遺言は、「自筆」の遺言です。全文、日付、財産目録をすべて遺言者が自書し、押印するものです。
これに対し公正証書遺言は、遺言者が公証役場に出向き、2名以上の証人の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を口述し、これを公証人が正確な文章にまとめて遺言を作成します。

自筆証書遺言には、紙とペンと印鑑さえあれば誰でもすぐに作成できるメリットがあります。費用もかかりません。ただし、自分で作成するために、形式上の法的要件を満たさずに無効とされる可能性があること、遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続として裁判所の「検認」が義務付けられていることなど、少なからぬデメリットもあります。また、財産目録も含めすべて「自筆」でなければならないため、複数・多数の財産を持たれる方には不向とも言えるでしょう。

公正証書遺言は、公証人というプロの方に作成いただくため、形式上の不備で遺言自体が無効になる恐れがありません。また、公証役場に保管されるために、破棄や隠匿、変造等の恐れがないとされ、相続開始後に家庭裁判所で「検認」を受ける必要もありません。
ただ、こちらも大きなデメリットとして、費用が高額になるという点が挙げられます。公証人手数料は目的の価額により決まりますから、例えば、妻に住宅(2,000万円)と預金1,000万円、長男と長女にそれぞれ預金500万円を遺贈する旨の証書を作成した場合、一例ですが、

妻へ合計3,000万円・・・証書手数料:23,000円
長男・長女へそれぞれ500万円・・・証書手数料:11,000円×2=22,000円
遺言手数料(目的の価額が1億円まで)・・・手数料:11,000円
合計 56,000円

などとなり、さらに証人の立ち合いを依頼する場合は証人1名につき5,000円~20,000円、その他、多岐に渡る必要書類の収集にかかる費用、行政書士、司法書士等の費用などが加わると、決して誰でも気軽にいつでも・・・という金額ではないことをイメージ頂けるかと思います。

この遺言制度の方式が、近々大幅に緩和されます。

先般の国会で成立した改正民法の中で、「自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない(以下略)」という一項が加えられることが決まりました。つまり、自筆証書遺言でも、「財産目録」に関してはPCで作成したものや、通帳や登記事項証明書等の権利書類のコピーを添付して、自筆証書遺言を作成することができるようになります。(注:自筆以外の頁には遺言者の署名押印が必要です)
この見直しは早くも来年、2019年1月13日から施行されます。

自筆証書遺言に関する見直し【PDF】

もうひとつ、これは本当に大きな変化と言えるのが、掲題の「遺言書保管法(法務局における遺言書の保管等に関する法律)」の成立です。改正民法と同時に承認されたため、配偶者居住権などの陰に隠れてあまり報道はされませんでした。
遺言者の住所地もしくは本籍地、またはその所有する不動産を管轄する「遺言保管所(=法務局)」に、自筆証書遺言を低額な費用で保管してもらうことができる、というもので、封をしていない自筆証書遺言と申請書を、必要書類を添えて提出すると、遺言書保管官が形式上の不備がないことを確認した上で、以後法務局に於いて保管してくれる制度です。
詳細は施行令等で決められる模様ですが、保管費用は数千円程度で済むと言われており、素晴らしいのが、遺言書保管所に保管された遺言書は、相続開始後の検認手続きが不要となる点です。また、担当官の方が形式上の不備の有無を確認してくださるので、自筆証書遺言のデメリットである「法的要件を満たさず無効」となる恐れがなくなるとともに、後続の手続の遅延を回避することができます。

遺言書保管法については、公布の日から起算して2年を超えない範囲内で、別途政令で定める日から施行されます。

法務局における遺言書の保管等に関する法律について
概要【PDF】

一連の法改正は、遺言の利用を促進し,相続をめぐる紛争を防止する等の観点からなされるものです。
少子化にともなう家族のかたちの変化、社会の高齢化と特有の諸問題、離婚率や生涯未婚率の上昇、さらには当事者同士の様々な感情が絡み合い、「父が亡くなり、母が2分の1、長男長女がそれぞれ4分の1」といった単純な計算式では片付かない相続が多くなりつつあります。
親族間の紛争を未然に防止し、残された方々が以後も仲良く幸せに暮らしてゆくことができるよう、遺言の利用をぜひご検討下さい。遺言は、状況が変われば書き換えることも可能です(法務局に保管する場合は撤回し、返還してもらい、再度書き換えた遺言書で再申請することになります)。ご高齢の方のみならず、働き盛りの方、結婚されていない女性の方も、ふじ行政書士事務所にお気軽にご相談ください。

→ふじ行政書士事務所の自筆証書遺言作成サポートはこちらから

【平成31年1月10日追記】新法一部施行に合わせて,財産目録作成をオプションサポートとして始めました。当方で目録をご用意しますので,ご本人は各ページに署名押印していただくだけで大丈夫です。

 

※市川市では毎月2度、本庁舎(現在は仮本庁舎)と行徳支所にて行政書士による無料相談会を実施しており、相続、遺言から、成年後見、契約書、官公署提出書類の作成、外国人市民の方の在留関連の諸問題まで、市内在住・在勤の方の様々な相談を受け付けています。開催日については市の広報をご覧いただくか、総合市民相談課に直接お問合せください。行政書士による相談会はご予約は不要です。
(8月20日(月)13:00~ 行徳支所にて開催。9月は、9月10日(月)、仮本庁舎での開催1度のみとなります。)

 

-11月21日追記-
掲題の遺言書保管法および改正民法(相続法)の施行期日が決まりました。本日の官報に政令が公布されています。
取り急ぎまとめましたので、本日の投稿をご参照ください。