【追記あり】平成31年1月13日 改正民法の一部(自筆証書遺言の方式緩和)が施行されます

-1月21日追記-
法務省民事局のページに,大変わかりやすいQ&Aや,書式のサンプルなどが掲載されました。下記リンクよりご覧いただけます。

自筆証書遺言に関するルールが変わります。


何度か本投稿でも取り上げてまいりましたが,昨年7月に公布された改正相続法のうちの一部,「自筆証書遺言の方式の緩和」が,他の改正項目に先駆けて間もなく施行となります。
自筆証書遺言に関する見直し【PDF】(法務省HP)

従来,自筆証書遺言は遺言者が全文を手書きしたもののみが有効とされてきましたが,ご高齢の方にとって,財産の内容などの細かな部分まですべてを自書するとなると,保有されている財産の多い方にとっては大変な作業でした。
そこで,より多くの方に遺言を利用してもらい,いわゆる「争族」や所有者不明土地の問題の解決につなげるべく,法務局における遺言書保管制度の導入とならんで,自筆証書遺言の「財産目録」部分について,自書することを不要とする変更がなされました。(念のため申し添えますが,平成31年1月13日よりも前の日付で作成された遺言書については,目録も含めて全文自筆でないと無効となります。これは施行後も同じです。)


来年導入される法務局における自筆証書遺言の保管制度を含め,一般的な遺言の方式を比べてみました。

自筆証書遺言(平成31年1月13日以降)

財産目録の部分は,PCで作成したり,通帳のコピーや登記事項証明書を利用したりすることができるようになります。目録が複数のページとなるときは,すべてのページ(両面であればそれぞれの面)に遺言者が署名し押印します。
自筆が求められるのは遺言書の「本文」だけとなり,その本文は「別紙目録1の不動産を妻に」「別紙目録2の不動産を長男に」といった記述が可能となるため,書き手の方の負担が大幅に軽減されるケースも多々あります。遺言書作成後の目録部分のみの差し替えも可能です。

一方で従来からデメリットとされている他の点については変更はありません。大きく2点,遺言者が亡くなった後,家庭裁判所による遺言書の検認が必要である点と,もうひとつは保管方法の問題です。

遺言書の形式が法的に有効なもので,偽造・改ざんがないことの確認である「検認」については,費用はさほどかかりませんが,申立てから検認まで時間がかかります。その間,すべての相続手続きが停止します。

また,自筆証書遺言には,常に「どこでどのように保管するか」という問題が付きまといます。簡単に見つけられるような場所では,生前に相続人に発見され,開封されてしまうなど,さまざまなトラブルを誘発する恐れがあります。(ちなみに前述の検認には未開封の遺言書を持参します。一旦誰かが開封してしまうと,その時点で「無効」となります。) かと言ってあまりに見つけにくい場所にしまい込むと死後の発見が遅れ,検認にも遅れを来たし,ひいてはすべての相続手続きに影響します。

ただ,これらはあくまでも「一般的」にデメリットと言われている点です。遺言の中には,検認に時間がかかっても,遺言書があることやその内容を家族全員がわかっていても問題のないケースというものもあります。
ふじ行政書士事務所では,あくまでも個々のご依頼者の方のご状況を細やかに伺って,最適な方式をご提案していますので,お気軽にご相談ください。

法務局での遺言書の保管(2020年7月1日以降)

自筆証書遺言において一般的にデメリットとされている前述の2点,検認の問題と保管の問題をあわせて解決してくれるのが,2020年7月1日に施行される遺言書保管法による法務局での保管制度です。

遺言者は自筆証書遺言を作成したら,未開封のまま法務局に持ち込みます。すると「遺言書保管官」という担当官の方が,遺言の形式が法的に有効であることを確認したうえで,以後法務局で遺言書を預かってくれる,というもの。閲覧や証明書の交付の請求等にも都度費用は発生しますが,保管費用それ自体は,現在わかっている範囲では「数千円」程度に抑えられるようで,少ない費用でさまざまなリスクを回避できるという点において,画期的な制度であると言えます。

想定されるおそらく唯一にして最大のデメリットは,保管の申請や撤回は,必ず遺言者本人が保管所である法務局に出頭して行わなければならない点でしょう。

法務局(支局や地方法務局を含む)それ自体,各都道府県にそうそう何か所もあるものではありません。そのうち法務大臣が指定するもののみが「遺言書保管所」となります。
遺言者が健康なうちに保管を申請するところまではできたとしても,年齢を重ね,相続人や財産の状況も変わってきた場合や,相続人でない親族の誰かにも財産を残したいと考えた場合。そのときに遺言者がすでに健康を害していて出頭することが現実的に不可能であった場合,救済策はあるのか。保管されているものよりも日付の新しい自筆証書遺言もしくは公正証書遺言を作成すれば解決するのか・・・など。

施行まで1年半あまりの日数があります。手数料額を始め,詳細は政令に委任されています。今後公布される内容を見守りたいと思います。

公正証書遺言

けっこうな手間も費用もかかりますが,「遺言」による資産承継のうち,最も確実な方式であることは確かです。

通常行政書士などの専門家と相談の上で作成した遺言書原案を公証役場に提出し,公証人に遺言書を作成してもらいます。裁判所の検認も不要,遺言書は公証役場に保管されます。

最大のハードルは何と言っても費用です。また「証人」も2名必要です。(証人のうち1名は私のように受任した行政書士が無償で(私の場合)務めますから,そもそも受任の時点で信頼関係ができており,職業上も主義義務があるため安心して任せていただけますが,ではもう一人をどうするか,誰でもいいのか,という問題。)

費用については,財産を遺す相手が多ければ多いほど,その額が大きければ大きいほど高額になります。
過去の小欄の投稿より・・・


妻に住宅(2,000万円)と預金1,000万円、長男と長女にそれぞれ預金500万円を遺贈する旨の証書を作成した場合、

妻へ合計3,000万円・・・証書手数料:23,000円
長男・長女へそれぞれ500万円・・・証書手数料:11,000円×2=22,000円
遺言手数料(目的の価額が1億円まで)・・・手数料:11,000円
合計 56,000円

などとなり、さらに証人の立ち合いを依頼する場合は証人1名につき5,000円~20,000円、その他、多岐に渡る必要書類の収集にかかる費用、行政書士、司法書士等の費用などが加わると、決して誰でも気軽にいつでも・・・という金額ではないことをイメージ頂けるかと思います。


内容を変更する際も都度費用が発生しますし,遺言者の方がお身体が不自由な場合など,公証人に出張してもらうことも可能ですが,その際も別途費用がかかります。

それでも,遺言をきちっと残しておかなければ亡くなられた後に何らかの紛争に発展する恐れのあるケースなど,公正証書遺言をあえておすすめさせていただく場合も少なくありません。自筆証書遺言から公正証書遺言へ,後追いでの変更も可能です。
ふじ行政書士事務所では,あくまでも個々のご依頼者の方のご状況を細やかに伺って,最適な方式をご提案していますので,お気軽にご相談ください。

 

 

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